お昼はハンバーグだった

オペラ座の怪人」のファントムの仮面をかぶった男が二人。うち1人はアタシのよく知る人物だった。追いかけようとして転んでしまった私を男は振り返り、手を振った。首を傾げて、小さな声で、バイバイ、と聞こえた。「嫌だ!嫌!」叫びながら起き上がって後を追いかける。男は逃げる。もう1人のファントムも現れたが、アタシはそちらを見ない。ただ目の前の男を、ひたすら。翻るマントの端を掴み、やっと男は止まった。静かに私を見つめる。ファントムの仮面の奥の瞳を、アタシは知ってる。やっと捕まえた。横向きのまま、左手は前に投げ出して何かを掴む格好で目が覚めた。
やっと捕まえた。